白黒先生-二重人格彼氏-

「おや、急いでどこへ行くんですか?」

あまり聞きなれない声に顔を上げる。

「す、すみませんあたし…前ちゃんと見てなくてっ」

わー神谷先生だ!

顔が近い…どうしよ。

「いいんですよ、それより…何か忘れ物ですか?」

「あー、ちょっと…ですね」

ケータイは持ち込み禁止だから言いにくい…。

けど、神谷先生は何もあたしに聞かなかった。

「そうですか。気を付けないとダメですよ?」

そう言いながら神谷先生が栗色の髪を耳にかけた。

あることに気づく。

< 42 / 162 >

この作品をシェア

pagetop