白黒先生-二重人格彼氏-

なに照れてんのあたしぃ!

こんな調子じゃ、『あの事件』の理由なんか聞けるはずないじゃん…。


「付けてくれます?」


完全に自分の世界にトリップしていたあたしは、先生の一言で我に返った。

「へ…?」

きょとんとしながら視線を先生に戻す。

「ええ。付けてくれます? これ」

先生はそう言いながら人差し指を親指でつまんだピアスをあたしに見せた。

「えと、あたしが…ですか?」

「駄目ですか?」

少し甘えたような顔、声。

そんな事、自分でできるんじゃ…とツッコミを入れながらも、甘えた顔に負けそうになる。

「駄目じゃないですけど…」

あたしはしぶしぶ、という感じで先生からピアスを受け取った。

黒いストーンがキラリと光る。


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