白黒先生-二重人格彼氏-
くいっ…と、あたしの顎があがる。
唇に三度目の感触。
あたしは先生の肩を力いっぱい突き飛ばした。
「信っじらんない…っ」
先生から数メートル離れた場所で、安全確保。
戦闘態勢はくずさない。
「だーから、隙見せすぎっつっただろ?」
自分の唇に手を添えて言う先生。
妙に色っぽい気がする…って、そんなこと考えてないで!!
「あたし…あんたなんか大嫌い」
あたしは先生に向かって言う。
できるだけ、トゲを含ませた声で。
「そうか? 俺は、あんたのこと気に入ったけどな。これからもっとちょっかい出してやろっか? …んま、じゃあ俺はこれで」
先生はあたしに背を向け、片手をヒラヒラと振りながら長い廊下を歩いていった。
信じられない。
人生で一番、嫌いな奴ができたかもしれない。