白黒先生-二重人格彼氏-
あれ…何かな。
空耳かな?
あり得ないから、ホントに。
お隣さんとか、あり得ないから…!
「んじゃ、俺あっちだから。じゃな」
瑛があたしに背を向けて歩きながら手をヒラヒラ振っている。
その背中が、人生でいちばん大事なものに見えてしまった。
今まで、瑛なんか…って思ってたけれど。
瑛、あんたがいないとあたしは!!
この変態教師とふ…ふた…二人!!
「やーだー! 一人にしないでぇー瑛ぅーっ!」
「…二人だぞ。俺いるからな」
残念ながら瑛には届かなかったあたしの叫びには、救世主なんかじゃなく…。
ひどく冷たく低い声が返ってきた。