白黒先生-二重人格彼氏-

「あ、あれ見て!」

急に唯が学校の校門にできている人だかりを指さす。

「何だアレ?」

瑛も不思議そうに、目を凝らして見る。

何なの、あれ…。

今日、何かイベントでもあったっけ?

校門に近づくにつれて、人だかりがハッキリと見えてきた。


『キャーッ』
『せんせーっ』

黄色い、かん高い声が聞こえてくる。

そして、見れば見るほどに、人だかりは全て女子。

あたしは目を丸くした。

『先生、クッキー作ったんです、食べてくださいっ』
『先生ー! メアド教えてくださいーい』

どの女子さんからも発せられている、『先生』という単語。

まさか…。

「な、何なのアレ…」

隣では唯が呆れているのか、怒っているのか、複雑なオーラを放っている。



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