like or love
映画の内容は、こうだった。
幼い頃にずっと一緒にいようね、と言う約束を交わした2人。
しかし、男の子が引っ越してしまって、2人は離ればなれになってしまう。
女の子は泣きじゃくって、その日、男の子が引っ越す日に、また連ねて重ねた約束をずっと心に留めて成長していく。
でも、男の子は体が弱くて、約束を果たしたくても果たせない。
もどかしい気持ちを抑えきれず、男の子は手紙を出す。
ずっと自分の病気を知られたくなくて、出すことが出来なかった手紙を、だ。
その手紙から遠距離恋愛が始まる、と言った感じだ。
「…。」
正直、ラブストーリーは苦手だ。
小説などで読む分にはまだ大丈夫なのだが、映画だと一気に気が滅入ってしまう。
文字で成り立つ小説の世界と違って、映画は実在している人物が演技をするためか何故だが素直に受け入れられない。
物語のように、素通りすれば良いのに。
冷めている私とは違い、由貴君は感動していた。
泣いてはいないけど、感動しているのだろう、目が映画に釘付けだ。
「…。……。」
私と、由貴君は違う。
由貴君はこの映画を素直に受け止めて、感動している。
なのに私は真っ向から否定の姿勢だ。
感動するどころか、逆にどんどんと冷めてしまっている始末だ。
折角、由貴君とデートなのに…。
デートは嬉しい。
なのに、映画は楽しくない。
由貴君と一緒なら、ラブストーリーでも大丈夫かと思ったが、甘かったらしい。
根本的に、受け付けないのだ。
ホラーが苦手なのと同じように、ラブストーリーが。
ごめん、由貴君。
心の中で謝罪する。
素直に受け入れなくてごめんと、由貴君が一緒に見たいと言ってくれたのに楽しめなくてごめんと。
映画が終わった時には、由貴君は感動のあまりか呆けていた。