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一緒に帰る途中、色々な事を話す。
今日あった出来事や、面白かった事、つまらなかったこと等ホントに色々と。
彼とこうやって過ごす時間はどんなに長くても短く感じる。
今この瞬間がまさにそうだ。
気が付けばもう家の前で、厳密に言うならばマンションの入り口だったりする。
「じゃあ、明日は部活あるから」
「うん。…頑張ってね」
声を明るく保つように気を張る。
彼を自分の我が儘で困らせるわけにはいかない。
「…和泉」
不意に呼ばれた自分の名前。
僅かにいつもと違う声に、弾かれたように彼を見上げた。
「え、と…由貴、くん…?」
其処にいた彼はいつもの彼じゃなくて。
瞳に熱を含んで此方を見つめている。
―視線が、熱い。
「和泉」
声に艶めいたものが混じる。
「っ」
徐々に顔に影が出来てくる。
それは由貴君が顔を寄せているという紛れもない証拠だった。
―キスされる…っ!!
「にゃー」
ぎゅっと強く目を瞑った瞬間、場違いな声が響いた。