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「明日は七夕祭ですから、今日はゆっくり休んでください」
催し物の準備が終わっての、委員長の一言。
その一言に皆が嬉しそうに声をあげる。
「ん、終わった?」
むくりと、今まで睡眠を貪っていた千佳君が起きあがる。
起きあがる際に日に当たって暑いからと被っていたタオルが下に落ちる。
ふぁ、と小さく欠伸をする千佳君。
「うん。今日はもう帰っていいって」
「ふーん」
はい。手渡されるタオル。
ちなみに使っていたのは私のタオルだ。
「皆は?」
「え?居るで、しょ…」
千佳君の問い掛けに教室を見渡せば、この教室に残っているのは私達だけだった。
一体、いつの間にいなくなったのか。
素早すぎるクラス一同の行動にびっくりだ。
見事なまでに、がらーんと静かな教室には、誰の荷物も無駄な物も、私達の以外何一つ残っていない。
「…。…帰る?」
「あぁ、そうだな」
しばらく沈黙が続いたが、ずっと此処にいるわけにもいかないので、千佳君に声を掛ける。
返事をすると、これまた千佳君も素早く荷物をまとめて立ち上がる。
私も貸していたタオルをしまってから、千佳君に少し遅れて立ち上がった。