like or love
「はぁ…」
口から意を反して零れる溜息にまた憂鬱な気持ちにさせられる。
今は休憩時間で、自由行動を取ることが許されているのだけれども、しかし一緒に回る人がいない。
いや、正確にはいる。
だけど自分が一緒に回りたいと思った彼女はいなくて。
「……はぁ」
これまた一つ、重たい溜息。
引きづり続ける自分が酷く疎ましい。
「なーに、また溜息ついてんの」
「…ウルサイ。俺だって好きでしてるんじゃねぇ」
本当は、溜息なんかつきたくない。
できればまたいつものように素通りして、日常に戻れば良いのに、それが何故か出来ない。
「無自覚かぁ…うんうん、それもいいよなっ!」
「何が」
どこもよくない。
それなのにコイツはいいと言う。
俺が落ち込んでいるのがいいのか、それとも別の理由かなんてわからないけれど、この状況を打破出来そうにないのは確かだ。
「ふふーん。由貴君、君七夕祭のビックイベント知ってるかい?」
「え、何その口調。…知ってるけど」
七夕祭の大きなメインイベント。
実質、この行事はそれ、告白するのが目的で行われている。
前は勿論こんな事が目的では無かったのだけれど、今ではもう意味はすり替わり告白がメインのイベントと化している。
「不純なイベントだよな」
「えー、どうして?」
「どうしてって…」
七夕祭は、まがりにも織り姫と彦星の唯一の再会出来る七夕の日をイベント化したもので、何も告白するために作った行事ではない。
なのに、今ではメインは告白。
願うよりも欲望では、不純だ。
「まぁなんでもいいけど」
いいかのよ。内心突っ込む。
どうやらべつに俺がこの目玉を何と言おうが思おうが関係ないらしい。
じゃあどうしてこんな話題を振ってきたんだ、と非難したくなった。
「良いチャンスじゃん?再度告白」
それは助言なのか。