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「私、こんな暗い自分嫌」

「…うん」


暗い自覚はある。

もちろん、自虐的であるところもだ。

それでも直すことは出来ない、直したら自分を保つ術を失ってしまう。


「でもこのままがいい」


自分が一番可愛い。

だから、自分を変えたくはない。


「由貴君といると、自分が変わっていく」


明るくならざるを得ない。

確実に、必然的に明るくなって自分を保つ術を失う。

怖い、そんなの。


「そんな自分、嫌」


今、がいい。

こんな根暗で暗い性格でも、それでも今がいい。


「…俺は、」

「…。」


その言葉の続きは何のだろう。

自分の答えは何のだろう。

どうして、こんなにも弱々しい力で自分の腕を掴み続ける彼の手を振り払うことが出来ないのだろう。


「っ、…チャンスが欲しい」

「…。」

「振り向かせる、チャンスが欲しい」


チャンスなんて無い。言えたなら、よかったのに。

どうして自分は嘘でも言えないのか。


「和泉が、好きだ」


無くなっていく物理的な距離。

動けないのは、由貴君だからか、それとも、


「――…いいよ」


それとも。



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