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一方。


「…先輩、どうしました?」

「んーん。ただ…」


心配。

あの子は溜める事しか知らないから。

限界が来たらきっと、爆発させることなくそのまま壊れてしまいそうで。

だから、心配。


「紀紗」

「っ、」


心臓を鷲掴みする、低い声。

逸らしていた顔を向ければ、そこには真剣な男の彼が居て。


「は、なくん…っ」

「おいで」


優しい目で、声で、表情で。

自分に出来る甘やかすための術を、彼は熟知しているから。


両腕を広げて、甘えて良いよと君は笑って待つから。


「…。……負けた気分」

「俺は嬉しいよ」


飛び込んでしまえばもう何も見えない。

視界を遮断して、守るように包んでくれる暖かさが、和泉にもあればいいと思う。

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