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ばくばくと、心臓が煩わしい。

まるで千佳君にまで聞こえてしまうんじゃないかと、どうしようもない不安に駆られ、抑えられないと知りながら静まれと強く思う。

それでも、


「和泉、緊張してる?」

「っ、」


それでも。


「心臓すごいけど?」

「なっ!」


煽るように言葉を紡いでいく千佳君。

どうしてわかるの、触れているところは手だけのはずなのに。

血液が激しく脈打って逆流して顔が熱くなる。


「手、震えてる」


暖かいはずの千佳君の手が、温く感じる。

理由なんて、そんなのわかりきったことで、自分が熱い。

顔だけじゃなく、手も、首も、耳も、全身が熱い。


「~~~っ、は、はな…っ」

「無理」


言い終わる前に遮られて、手を掴まれる。

痛くなく、けれども逃げられないその強さが彼の性格を表していて。


「好きなんだ、放せない」


あぁ、泣きたくなるほど心地良い。

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