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教室に行くとまだ誰も来ていなかった。

私のクラスの人達は学校に早く来る人は全くと言っていいほどにいない。

勉強なんか家ですれば進級出来るし、わざわざ朝早くに来れるかよって言うのがこのクラスの意見らしい。

だから早くに学校に来てしまう私としては実は寂しかったりもする。


「なんで千佳君はいつも早いの?」


そういえば、と今まで気にならなかった疑問をぶつけた。

千佳君は部活に所属していないし、勉強は出来るけど朝早く来てやるような人ではない。

なのに何故かいつも早い。

その早さは私よりも早くに教室にいるか、ちょっと遅いか位で、なんだか彼自身と合っていない。


「なに、その今更な質問」

「うっ…そ、それよりさ、どうして?」


痛い所を付かれたが、気にせず再度質問する。

一旦気になると、なかなかその話題から離れられない。


「…。…なんとなく」

「え、なに今の間。すごい不自然なんですけどっ!?」


答えるのに妙なまでに取られた間がすごい気になってしまう。

明らかに不自然なのに、千佳君はどこが?とでも言うようにこの話題をさっさと終わらせようとしている。


「気にするようなことじゃないだろ」

「気になるでしょ、フツーっ!!」


面倒臭そうだ。

それでも、めげずに食い付く。


「ふーん?」

「え?」


口の端を持ち上げて意地悪く笑う千佳君に嫌な予感がした。

予感というよりは、悪寒だ。


「そんなに、俺が気になる?」


彼の笑みに、一瞬悪魔を見た気がした。
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