血の果て



────…‥






いったい何度床を拭けば良いんだろう。

男の割には几帳面だと自負はしていだが。


砕けた硝子破片を拾い、拭き、掃除機を掛けた。

化粧水の香料をたっぷり含んだ雑巾を洗う。


「…‥つゥ」


カランと小さな硝子の欠片とともに、アイボリーの洗面台にポタポタ血が滲んだ。


蛇口から吐き出る水に吸い込まれ、溶かした絵の具のように血は排水口に消える。


この血はアイツに繋がっているのか。

俺が奴の松葉?









強く結んだ瞳から、色の無い血がさらさら溢れた。



< 103 / 316 >

この作品をシェア

pagetop