血の果て



「去年まで働いてたんだよ…‥内職と、近所のお好み焼き屋で」


そんな。
…‥そんな。


「でも、幾らか貯えがあるだろう?」


ふるふると頭を弱く振り、老婆はゆっくり立ち上がり、鞄の中をごそごそと掻き回すと、通帳を差し出した。



  残高 ¥924,-



今度は床が、天井が回る。



< 169 / 316 >

この作品をシェア

pagetop