血の果て



「ご、ごめんなさい。私、よけいな事聞いちゃいましたね」

「いや…‥もう終わった事だから」


恥も外聞も無く語りながら、俺は老婆を押し込めた部屋のドアを見た。

おとなしくしている事に安心しながら。

ばつが悪いのか、彼女はスカートの裾を直す。

右膝の白い足に一つ、小さな黶が窺えた。



< 277 / 316 >

この作品をシェア

pagetop