血の果て
部屋の片隅に、俺と同じように置き去りにされた、編み掛の赤い小さな手袋。


『かぁしゃん、なにしてるの?』

『ん? 恭一の手袋、編んでるんだよ』

『あかいの?』

『そぅ。ワタシのセーターほどいてね』

『ふぅん。でもぼくかめんらいだーのがいい』

『買えないよ、そんなの』

『だったらあおいほうがいい』

『コレしか色は無いんだよ』

『やだあ。かめんらいだーか、あおいほうがいい』

『コレだけなんだよ』







かぁしゃん…‥。

もうワガママ言わないから───早く帰って来てよ。






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