血の果て



【郷原 恭一・リカ】


間違いは無い、我が家の表札を確かめる。


別に悪い事をしでかしたわけでは無いのに。
ぬるぬるした掌が、重厚なドアを音も立てずに開けた。







優しい灯りに包まれた細長い廊下。
スリッパまでちゃんと揃えられて。

『夕飯出来てるわよ』の言葉通り、ほんのり、旨そうな匂いが鼻を霞める。



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