血の果て



「え?」 「あ?」


同時に出た言葉は、間違いなく、濡れたズボンを凝視していた。



    失禁



たちまち、鼻を突く匂いがし出す。

カーペットに、ソファーに、その水分がジットリ染み込んで行く。


「やッ、ど、どうしよう」

「冗談だろ…‥」


老婆は更に泣き尽す。

自分の躰の恥に。

居場所さえ与えて貰えない過去の行いに。



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