昼の眼鏡は夜の華
懸命なお願いにより、
笑わないという条件を加え、
ようやく彼は観念して
テーブルの上に小さな本を置いた。
タイトル
〔UFO追跡者の預言ー宇宙からの伝言ー〕
赤面している彼を傷付けるつもりは更々無いが、
どこからともなく笑いが零れてくる。
『オカルト好きなんだ?』
『花川、おまっ笑って…』
彼が"笑ってんじゃねぇか。”と言い切る前に私は続けた。
『私、好きだよ。こういうの。
小さい頃、特番は欠かさず観てたもん。
怪奇現象ってヤツ?』
『へぇー…なんか意外。
花川ってもっとシビアな奴かと。』
それは、
きっとこの眼鏡のお陰だろう。
夜はコンタクトにしているが、
昼は変装の意味も込めて
大きめの、少々行き遅れた眼鏡を掛けている。
『それに、この本も三回は読んでる。
もっと言えば、あそこの棚は殆ど読んでるしね。』
タケルは早速本に挟んであった返却カードを見るなり
私の名前を見付けて、
嬉しそうに目を輝かせた。
『…本当だ。』