昼の眼鏡は夜の華
小春はアパートの前で
優さんの車を見送った。
『はぁ…』
ベッドの上に倒れ込んで何度も溜息をつく。
さっきの事。
嬉しく無かったと言えば嘘になる。
けど、素直には喜べない…
この世界に入るとき、
ママからきつく言われたこと。
"お客様との恋愛は御法度。"
こんなに早く破りそうになるなんて
入りたての私には予想もつかなかった。
その前に…私、優さんの事、本当に好きなのかなぁ…。
大の字に仰向けになって天井を見つめても、答えが返ってくる訳も無い。
『ちょっとドキドキしただけ。』
言い訳を呟く。
言い訳な事くらい分かってる。
でも、…これでいい。これで。
小春は、
自分にそう言い聞かせながら
眠りについた。