昼の眼鏡は夜の華

バスケット

体育館。

シューズの擦れる音と
バスケットボールの跳ねる音


『っうぷ。』

…飲み過ぎた。

未成年ながらも、
水商売をやっていると大分酒に慣れるのだが、

昨夜のお客さんは一味違う。

ボトルを沢山入れてくれるのだが、
それが好意だとしても少々キツイ。


弁当が戻りそうななか、
50分も拘束されるなんて、

まるで牢獄に閉じ込められたようだ。


『小春…大丈夫?』

『うん、なんとか。』

辛そうな顔をしていたのだろう。
心配して親友のアイが声をかけてくれる。

見た目はちょっとちゃらいが、
中身は大人しく、気配りができる、優しい女の子だ。


こんな日に体育とかするもんじゃ無いな…

見学届けを出そうか迷った事を
今さら後悔しながら、

眼鏡をクイと上げて、
解けかけていた靴紐を結び直した。


そんな時だった。

『ボールいったぞー!』

飛び交う声の中に
一際大きい男子の声が聞こえる。



ードンツ


『いったぁ…』







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