昼の眼鏡は夜の華
瞼を開けると、
そこには見慣れない天井があった。
何…ここ何処?
『あ、起きた!』
暫くボーっとしていると、
ズイと顔が視界に入ってくる。
加藤タケル。
同じクラスだが、
学校では人脈を広げる事をしない小春は
あまり話したことが無い。
栗色の頭髪…
『それ、自毛?』
『…ぷ。ナニソレ
俺、花川と話すの初めてやのに、
第一声それかよっ』
無機質で静かな部屋に
タケルの笑い声が響く。
よく見るとタケルは体操着姿だ。
…あ、そっか。
ボールが飛んできて…
『自毛だよ。』
タケルは
込み上がる笑いを押さえるように答えた。
『ーっ』
瞬間、
脳みその中がズキンと痛む。
『大丈夫?』
『う、うん』
小春は首を縦に振った。
恐らく、これは二日酔いによるものだ。
気を使わせるわけにはいかない。
『…ワリィ。
俺のボールが当たったんや。』
先程大笑いしていた顔が
急に深刻になって、
小春は慌てて上体を起こした。
『大丈夫やって、気にせんといて。』
『サンキュ。』
タケルは照れたようにはにかんだ。