apricot
にこにこしながら、ポッケに手を入れて
ピンク色の包みを取り出した。
「はい。あげる。いちごみるくあめ。」
こいつのブカブカのカーディガンのポッケは
いつもあめが入ってる。
「おまえ、ドラえもんみたいだな。」
俺がそう笑うと、そいつも笑う。
「せんぱい、なんでいっつもここにいるの?」
「べつに。」
不思議そうに小首をかしげて聞くこいつに
俺は本当のことを言わなかった。
「お前は?なんでいつもいるの?」
「うーん…先輩がいるから。」