apricot
自分でも、自分に驚いた。
動揺したまま、気を紛らわせるようにメニューを開いた。
「とりあえず、なんか食おうぜ。」
「おう。」
どうしたんだ、俺。
その時、メニューのあるページで手が止まった。
「おい、ケーキフェアだって。」
何気なく言っただけだった。
「は?ケーキ?一体どうしたんだよ、お前。」
「え?」
「いつもデザートのページなんて見ないじゃん。つか、そんなん好きだったっけ?」
そういえば、そうだ。
なんで俺は、ここで手が止まったんだ?
その時、分かった。
あいつだ。