apricot
「秀二先輩ね、いつも先輩のこと話すんです。」
アイミちゃんが、唐突に俺に向かって笑いかけた。
「え?」
「秀二先輩ってね、学校じゃいつも1人なんです。
だから、先輩が唯一心から信頼できる奴なんだって言ってました。」
言葉が、出なかった。
アイミちゃんの肩越しに、秀二がコーヒーを持って戻ってくるのが見えた。
「あ、秀二先輩にはナイショですよ?」
「なにがナイショなんだよ?」
秀二がコーヒーを置きながら、アイミちゃんを優しく睨んだ。