一音入魂!
いま思い出してもはあはあしてしまう!
黒Tシャツを肩までまくり上げ、そこから現われた筋肉!
血管の浮き出たあの逞しい腕!
宏夢さんが抱えるギターが私だったなら…!
撫で回されたい!
すみからすみまで貴方の手で開発されたい!






だんだんと二人の距離は近づいてゆく。



「きゃあっ!そんな…私たちまだ出会ったばかりなのにこんなことよくないわ」



ほのかに赤く染まった頬を髪で隠すように私はうつむいた。
恥ずかしくて顔を上げられない。
私の頭上から、甘く、低い声が降ってくる。




「凛子。そんなにうつむいてたらキスできねーだろうが。」




そう言うと宏夢さんは優しく、しかし逆らうことは許されない有無を得なさでそっと私の顎を持ち上げた。
ねっとりと視線が絡む。
そらせない。
金縛りになったみたいだ。
熱っぽい瞳が私を見下ろす。
不思議と彼の求めていることがわかった。
でも、それはもしかしたら私自身が求めているのかもしれない―――。
そして私はゆっくり彼のメガネに手をかけた。
甘く誘うように彼が囁く。



「俺のメガネをはずせる女はお前だけだからな」





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