一音入魂!
そう、事件は昼休みに起きた。
私がいつものようにお手製のタコさんウィンナーにフォークを突き立てている時だった。



「凛子!イケメンな男子の先輩が呼んでるよ」



綺麗に巻かれたショートの髪をゆらしながら小百合がふわりと私に笑いかけた。
笑顔がとても似合うほわほわした女の子だ。
ふむ。
この笑顔を見るとクラスの男子の大半が彼女に惚れているのも納得できる。
私の美少女っぷりには遠く及ばないけれど。
それでも私が小百合ほどモテないのはやはり美しすぎるからなのだろう。
胸に届くほどの長く黒い髪。すけるような透明な肌。誰もが見惚れるこの美貌!
言い寄る男は数知れず。
きっと私を呼んでいるというイケメンな先輩も思いを伝えに来たに違いない。
しかし残念なことに、そこらへんに転がっている男なんかに興味はない。


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