その絵に。
彼はしばらくの間、その場所で空を仰ぐような仕草をする。
何を感じているのだろう?

そして、猫の様に大きく体を伸ばして、やっと真っ白な画用紙と向き合った。

私はそんな彼を横目にニヤニヤしながら描きはじめた。

一旦、絵に集中すると時間が経つのが早くて、気が付けば昼前。

私は一通り下書きを終え、彼を見る。

どんな絵を描いてるんだ?

「えっ、クミ…どこいくの?」

って言われたけど、体は向かってた。

そっと近づく。

彼は絵に集中しているようで私に気付いていない。

もう、手が届く。
触れることのできるキョリにいる。

そして、天パの頭ごしから見えた彼の絵。

いくつもの鉛筆の線が何度も重ねられた絵。思わず、

「好きだよ。」

その言葉に驚いて振り返った彼は私を見た。

こんな近くで目が合って。
誰?って顔で私を見てる。

「…ぇ、絵のことだよ。」

って私は付け加えた。

そして、急いでマイコのところまで走って戻った。

危なかった。このタイミングで告白するとこ…いや、してしまった…。

…顔が熱い。
真っ赤になってる。耳まで、きっと。

「…ねぇ?顔やばくない?」

顔を両手で隠して、その場にふさぎこむ。

バレた…。
絶対、私の気持ち。

「大丈夫だよ。
あいつ、鈍感だから。」

「…。」

「ほら。首、傾げているよ。」

それを見てちょっと複雑。

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