その絵に。
特別。
放課後。
いつもの様に美術室にいるけど、なんか集中できない。

だから、窓の外に目を向けてるわけで。
ベランダに出て風を全身で浴び、下界の運動部の様子を伺う。

「クミ!!!」

私に気付いてマイコがグランドから手を振る。

私も手を振り返す。

そういえば、陸上部っていってたよね?

思い出した。
けど、そう簡単に…分かった!
だって、聞いてた通りの天パなんだもん。

後ろ姿なんて昨日のノートの隅にした落書きと想像通りでちょっと嬉しい。
ニンマリして見る。

こっち見ろ。
顔が見えないじゃん。

ベランダから呪いに近い念を飛ばしてみた。

すると、なぜかマイコが彼に話かけている。

…何、話してるんだろう。

マイコは私の方を指差した。

ん…まさか?

彼は私の方を見上げた。

私…慌てて…
なんで…。
隠れてるの?

…多分。
急にマイコがあんなコトするから、恥ずかしくて隠れただけだよ。

ベランダからこっそり顔を出す。

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