きらり
とにかく彼女は目立つ。

どんなに離れていても彼女の事を見分ける自信が自分にはある。

一言も話した事なんかないのに。

きっと朝のあの車両に乗っている全員が彼女の存在を認識していると思う。

そのくらい彼女は目立つのだ。

察するところ彼女は会社員だ。

少なくとも同じ会社に2年と4ヶ月は通っているはずだ。

自分が高校に入学した時に彼女は同じ電車の常連だったから何となくわかる。

時々、乗り遅れたのか、有休でも取ったのか、はたまた病気なのか、彼女が電車に乗ってこないと少し気になる。

彼女は自分の通学電車に不可欠な存在なのだ。


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