今を楽しめ!青春!
私に用意されたのは、増野さんの後ろ―窓際の1番後ろの席やった。
転校生の定番席やな。
最大限地味に見えるように、俯いて挙動不審に歩く。
今時、こんな奴おるんやろか(笑)
自分で、自分の行動に笑ってまいそうやわ。
「今日のHRは終わります。田村さん、教科書は近くの人に見せてもらってね」
先生って大変やな。
こんな地味で暗い、冷めた奴にも優しい。
「なあ!ひろこちゃんやっけ?」
「え、」
「うち、増野美樹!美樹って呼んでな!」
前の席の子。
今時な感じの子やな。明るくて、ちょっと髪の毛明るくて、薄く化粧してる。クラスの人気者タイプやな。
周りの子はビックリしたような目で、私たちを見てる。
地味で悪かったな。
どうせ、こいつらも前の学校の奴らと一緒。いつかは"元"友達になるんや。
「ひろ~、聞いてる?」
「あ、ごめんなさい」
"謝らんでもええやん"って笑われた。私のことなんて、ほっといてくれたらええのに。
「部活とかやってたん?」
「や、やってない、です」
やってなかったとか嘘。
けど、やってなかった事にしたいのは事実。私には"部活"なんて必要ないねん。