Slow Magic ~星が見守る愛~
透明の窓の外から悠亜さんを探す。
すぐに見つけることが出来た。
悠亜さんはさすが美容師さんだけあって、この前会った時と別人のような髪型だった。
すぐに悠亜さんだとわかったのは、優しい笑顔のせい。
お客さんに笑顔で接する姿をしばらく眺めていたいような気持ちになる。
綺麗に磨かれた窓は傷ひとつない。
私の心…みたいだよ。
隆介のおかげで、過去を忘れることができたんだ。
忘れるというよりは、『許せる』という感じに近い。
裏切った依那のことも元彼のことも、もう殴りたいとは思わない。
今なら、笑って話せるような気がするんだ。
隆介の魔法で
心が真っ白になれたんだ。
「あ!!美亜ちゃん!どうした??」
私に気付いた悠亜さんは、大きな目をもっと大きくして私に駆け寄る。
一度しか会っていない私の名前までしっかりと覚えてくれていることに驚いた。
「実は…隆介と両想いになれたんです!」
悠亜さんは濡れた手で私を濡らさないように気を付けながら私を優しく抱きしめた。
「良かったぁ!!本当に良かったね!!」
悠亜さんからは美容室の匂いとは違う、香水のいい香りがした。
それだけ伝えると、私は大きく手を振って走り出した。