Ｓｌｏｗ Ｍａｇｉｃ ～星が見守る愛～

聞き慣れない駅名ばかりが続く。

紅葉が一番綺麗な季節…


電車の中の人々は外の景色にも目もくれず、眠ったり本を読んだりしている。


私は、その美しい紅葉を独り占め。



昨日は、泣き止んだ隆介とどうでもいい話で笑ってた。

つまらない深夜番組を見ながら、２人で突っ込んでばかりいた。


気が付くと、隆介が寝息を立てていた。

眠そうな隆介の『おやすみ…』って声もかわいかった。


ゆかりに携帯の録音の仕方を教えてもらうのは、また明日にしよう。

今日は、きっと学校には行けないから…




「おかあちゃん！抱っこ！！」


幼稚園くらいの男の子がお母さんに甘えていた。

お母さんは、はいはいって言いながらその子の頭を撫でた。

その男の子は激しく泣き出した。

お母さんは、電車の中だから静かにしなさいと何度も叱った。


他の乗客もなんとなくみんな視線をその男の子に向けていた。


「いや！！いや！！抱っこ！！」


そう言いながら男の子は、声が枯れる程に泣いていた。