Slow Magic ~星が見守る愛~
店を出た私達は、また離れて歩く。
「あっれ~?俺の命令忘れた?」
前を歩く隆介がジロリと睨む。
「くっついてろって言っただろ!」
…そう言って、右手を差し出した。
ドキドキしすぎて、おかしくなるよ。
きゅんきゅんしすぎて、苦しいよ。
ポカポカと私達に降り注ぐ太陽は、冬とは思えない暖かさをくれる。
「お前、どっか行きたいとこある?」
人込みの中で隆介が私の耳に近づく。
「隆介の行きたいとこがいい…」
私、こんな子だった?
いつも自分がリードして、行きたい場所や食べたいものを決めてきた私が…
隆介の前では従順な子犬のよう。
信号で止まると、手から隆介のドキドキが伝わるんだ。
歩いてるときには気付かないくらいのドキドキが…
「俺、行きたいとこあるんだけど、付き合ってくれる?」
耳にかけていた髪がサラリと落ち、隆介の顔を隠す。
髪の間から隆介の真剣な眼差しが見えた。