Slow Magic ~星が見守る愛~
「お母さん、お父さんに似た彼氏今度連れてくるね。」

朝食のトーストを頬張りながら私が言うと、お母さんは興奮気味に頷いた。


彼氏をお母さんに紹介するのは初めてだ。

高校の失恋を知ってるお母さんは、私を気遣ってあまり恋愛ネタの話をしてこなかった。



隆介を、みんなに知ってほしい。

みんなに紹介したい。


私に幸せをくれた隆介に…

今度は私が恩返し。



「ねぇ、お母さん。もしお母さんが昔に私を置いて家出したとしたら、私のことどう思ってる?」


唐突な質問の上に、説明の下手な私にお母さんは目を見開いて近付いてきた。



「どうしたの、急に。私は美亜を置いてなんて出て行かないわよ。」


お母さんが私の頭に手を乗せた。


わかってるけど、改めてそう言われると涙が出そうになるんだ。



「わかってるよ~、あのね、彼氏ね…小学校のときにお母さんが家を出たんだって。でも、最近手紙が届いて…彼氏のこと心配してるんだぁ。どうにかして、探してあげたいんだよ。」


私は無意識にトーストのへたをちぎりながら話してた。


「かわいそうに… 美亜は優しいね。やっぱり私の子だね。お母さんは、きっと毎日息子のこと考えてると思うな。我が子だもん…私がもし美亜と離れてたらって考えると…」


涙もろいのはお母さんに似たのかな。

お母さんは目を潤ませた。


「美亜が探すことに彼が反対してないなら、頑張って探してあげなさい。」


お母さんは私の頬に冷たい手を当てた。

洗い物ばかりしているお母さんの手は、いつもひんやりと冷たかった。



「うん!!ありがと!!お母さん大好き~!」



私は、またあの街へ行くことにした。


また隆介によけいなことしてって怒られると思うけど、じっとしていられなかった。





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