Slow Magic ~星が見守る愛~
隆介は、鈴子を突き放すことなんてできない。
「いいよ…隆介、鈴子が好きならそっち行っていいよ…」
隆介の目が…一瞬とても悲しい目になった。
そんなことないって言って欲しかった。
お前じゃないとだめだって言って欲しかった。
「・・・もう遅いから送る。」
隆介は、低い声でそう言って玄関へ歩いた。
もう帰れ、とは言えないんだ。
優しい隆介は、ちゃんと私を家まで送ってくれる。
どんなに怒ってても、どんなに悲しくても…
「ごめん…隆介、ごめん。ねぇ…」
隆介の腕を掴んだ私の手を、隆介はゆっくりと離す。
「いいよ・・お前にそんな事言わせた俺が悪い…」
バイクに乗っていても、隆介の背中は温かくなかった。
そして、夜空を見上げると私の心の中のように、雲が星を覆い隠していた。
別れ際まで、目を合わせてくれなかった。