Slow Magic ~星が見守る愛~


「そうそう…言い忘れてたけど、さっき健太に会ったよ。隆介を待ってた。」



大事なことを言い忘れていたことに今気が付いた。


隆介は、ふとんの中で笑った。



…普通、最初にそういうことは言うだろ?って。





ふとんから顔を出すと、涼しくて気持ち良かった。


健太が隆介に伝えておいてくれと言ったことを伝えた。



記憶がぐちゃぐちゃになってよく思い出せなかった。


健太の気持ちと自分自身の気持ちがだぶってしまってたから…



「健太のとこ、戻ると思うよ。鈴子は…。あいつ、甘えてるだけだろ。」


胸の奥がツンとした。


信じてるよ、隆介を。

たった今、素敵な言葉をくれた隆介を疑ってなんていないよ。



…でもね、


やっぱり嫌なんだ。




鈴子のことなら、何でもわかってしまう隆介が…


あいつ…って馴れ馴れしく呼ぶのも、鈴子って呼び捨ても…


慣れてるはずなのに、

毎回毎回、心の奥が少し痛む。




「健太は、私に似てる。健太は鈴子に首ったけ…」


健太の目を思い出していた。

健太の無理した笑顔が浮かぶ。



「お前…俺に首ったけなの?そんなに俺が好きなの?」


嬉しそうな声でそんな質問をする隆介がかわいかった。


「美亜、それなら俺のお願い聞いて。俺、喉渇いたなぁ」


ふとんから顔だけ出して、かわいい声を出す。

お願いだなんて言われると、ニヤけちゃう…



「コーヒー入れてきてあげよっか?待っててね。」


ベッドの横に転がってる服を手探りで探す。



「だ~め!そのままで行ってきて。服着んな!」


隆介は、ニヤっと笑って…


またあの鋭い目で私を見る。





< 246 / 373 >

この作品をシェア

pagetop