Slow Magic ~星が見守る愛~
「そうそう…言い忘れてたけど、さっき健太に会ったよ。隆介を待ってた。」
大事なことを言い忘れていたことに今気が付いた。
隆介は、ふとんの中で笑った。
…普通、最初にそういうことは言うだろ?って。
ふとんから顔を出すと、涼しくて気持ち良かった。
健太が隆介に伝えておいてくれと言ったことを伝えた。
記憶がぐちゃぐちゃになってよく思い出せなかった。
健太の気持ちと自分自身の気持ちがだぶってしまってたから…
「健太のとこ、戻ると思うよ。鈴子は…。あいつ、甘えてるだけだろ。」
胸の奥がツンとした。
信じてるよ、隆介を。
たった今、素敵な言葉をくれた隆介を疑ってなんていないよ。
…でもね、
やっぱり嫌なんだ。
鈴子のことなら、何でもわかってしまう隆介が…
あいつ…って馴れ馴れしく呼ぶのも、鈴子って呼び捨ても…
慣れてるはずなのに、
毎回毎回、心の奥が少し痛む。
「健太は、私に似てる。健太は鈴子に首ったけ…」
健太の目を思い出していた。
健太の無理した笑顔が浮かぶ。
「お前…俺に首ったけなの?そんなに俺が好きなの?」
嬉しそうな声でそんな質問をする隆介がかわいかった。
「美亜、それなら俺のお願い聞いて。俺、喉渇いたなぁ」
ふとんから顔だけ出して、かわいい声を出す。
お願いだなんて言われると、ニヤけちゃう…
「コーヒー入れてきてあげよっか?待っててね。」
ベッドの横に転がってる服を手探りで探す。
「だ~め!そのままで行ってきて。服着んな!」
隆介は、ニヤっと笑って…
またあの鋭い目で私を見る。