Slow Magic ~星が見守る愛~


鈴子との出会いは私にいろいろな気持ちを教えてくれた。


鈴子のような女の子は、私の友達の中にはいなかった。


だから、すごく気になる存在でもあり、苦手な存在でもあった。



私にないものをたくさん持っている鈴子が羨ましくて、悔しくて…


でも、キライじゃなかったんだ。




どこかでずっと意識してた。


隆介が鈴子をどう思ってるのか、2人の過去に何があったのか…


どうして、隆介は鈴子じゃなく私を選んだのだろう…




いつもそれが頭の片隅にあったような気がする。



鈴子に、いつの間にかそんな気持ちまで話してた。


鈴子は言った。



『私の方が、美亜ちゃんが羨ましいよ。素直で一途でかわいいよ…』



私と鈴子は時間を忘れて、2人の時間を楽しんだ。



ふかふかの椅子に座っているのに、お尻が痛くなっちゃうほど長い時間話していた。




ひげのマスターは、そんな私達に手作りのクッキーをくれた。


目を合わせながらそのクッキーを口に入れたとき、涙が出そうになった。



隆介に恋をしてから、何でもないことで涙が出るんだ。



優しい味のクッキーを口に入れて、鈴子と笑い合った瞬間…



私の中で、何かが終わって


何かが始まった気がした。




きっと、


またこの場所に来る。




オレンジ色の灯りが心を穏やかにしてくれる。


どこか懐かしいひげのマスター。


隆介を思い出すコーヒーの香り。




ここで芽生えた小さなひとつの友情…



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