Slow Magic ~星が見守る愛~


冷めたお弁当を温めなおして、2人でいただきますのやり直し。


「飯、硬い!!」


文句言いながら、2人でお弁当を食べた。



こんな食事風景はよくある。

だけど、いつもと違ったのは、TVを付けていなかったこと。



いつもは隆介TVばっか見て、私が話しかけても「ん?」とか言って、耳に入ってないんだ。


今日は、冷蔵庫の音が耳に付くほどに静かな晩御飯。


隆介の ゴクン…って飲み込む音まで聞こえてなんだかすごく嬉しかった。



「鈴子からもらったの?みーたんとりゅーたん…」


思い切って切り出したのは、いいけど…

また不機嫌そうな顔。


「ん?それがどうかした?」


何気なく、私のお弁当にお箸を近づけて、私の好きなトマトを奪う。


「あぁ~~~!!トマト泥棒!!」


隆介のお弁当のトマトを奪おうとお箸を伸ばす。


さっと、隆介はそれを口に入れる。


「あ~2つとも食べた。ひどい!!」




すると…



その後、美亜の歴史上最も大きな出来事が起こる。




「ほらよ!」


隆介が口に入れたトマトを半分…

お箸でつまんで…私の口へ近づけた。




ヤバイって…


それってマジで…


間接キス以上…





だって、隆介の口に入ってたトマトだよ…




「いらないの?」


隆介のその言葉に私の口が開く。



「これでいいだろ?」


隆介が嬉しそうに私の口の中へトマトを入れた。



私はなるべく平気なフリしようと頑張ったけど…


顔が赤くなるのだけは止められなかった。



トマトをいつまでも口の中で噛んでた。


飲み込んじゃうのがもったいないくらいに…嬉しくて涙が出そうだった。



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