Slow Magic ~星が見守る愛~
ゆかりの恋
クリスマスまであと2日。
せっかくの休日も雨で、街もどこか寂しそう。
今年の冬は、雪が降るほどの寒さも訪れず、ホワイトクリスマスを期待してる私としてはちょっぴり残念。
今日は、ゆかりとたっくんと忘年会。
たっくんが見つけてきたスペイン料理のお店で待ち合わせ。
レンガでできた古めかしい建物の入り口には、かわいい小さなツリーが輝いていた。
先に到着した私と隆介は、店の外観を眺めながら2人を待っていた。
「高そうな店だな。卓弥のやつ…結構貯金してんだろうなぁ」
隆介は、入り口の扉から少し見えるワインの棚を指差した。
「あんなの頼んだら、1万なんてすぐ飛んじゃうぞ!」
「え~、そうなの?じゃあ、水でいいよ!」
そう言った私の頭をぐちゃぐちゃ…ってして、言ったんだ。
「俺だって、いちおうお前の為に金貯めてんだからな!気にすんな。」
じわっと溢れてきた涙を隠そうとする右手を、隆介に掴まれた。