Slow Magic ~星が見守る愛~
女子高生2人は、キャッキャッと騒ぎながら、走ってまた電車に乗った。


私は、もうそのチカンの顔が見たくなかった。


下を向いていると、助けてくれた子が私の肩を抱いて、ベンチに座らせてくれた。


「大丈夫?後は任せて!」


その子は、慣れた様子で駅員さんに説明してくれた。

おじさん2人は、会社に遅れるからと電車に乗った。


「ありがとぉございました・・・」


お礼を言うと、嬉しそうに2人は笑いながら手を振った。


世の中、捨てたもんじゃないな・・・なんて少し嬉しくなった。



黙ってベンチに座っていると、自分だけ世間の波に乗れていないような感覚になる。


早足で急ぐ人々の中で、時間が止まったかのように私はただ座ってる。


誰も私になんて気付かないくらい・・・

忙しそうに歩いてる。


数分座っているだけで、電車が何本も通り過ぎる。


ちょっと立ち止まるだけで置いてけぼりにされちゃうような世の中。





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