Slow Magic ~星が見守る愛~
何かを期待していたわけじゃない。
だけど、隆介の『キス』…
すごく好き。
あの感触を忘れない為に、毎日キスして欲しい…なんてどんどん贅沢になる。
「行くぞ!」
私の気も知らないで、玄関に向かう隆介。
その後姿をじっと見つめてる私に気づいてる?
抱きつきたいよ、その背中に…
まだほんのり残るコーヒーの香りが私の胸の奥をぎゅっと締め付けるんだ。
もう帰らなければいけないんだね。
本当は、もっと一緒にいたい。
ずっとこうしていたいな、なんて言ってくれたのに、結構あっさり部屋を出ようとする隆介は、やっぱり不思議で…また私の心を掴む。
全部計算だったら、あんたすごいよ。
恋愛の達人だと思うよ。
今晩、私は絶対に眠れないから…
隆介のことしか考えられなくて
隆介に抱き締められた感触を思い出して、泣いてしまうんだ。
「何ぐずぐずしてんだよ!ほら!」
なかなかソファから腰を上げない私に近づいて、呆れ気味に言う。
そして、手を差し伸べて…
その手を掴もうとした瞬間に…
強引に引っ張られて、
隆介の腕に包まれる。
大好きな場所。
ずっとこのぬくもりの中にいたい。
強引なのに、引き寄せた後はすごく優しい。
それが隆介。
いつもそう。
冷たい言い方するくせに、実はすごく優しいって知ってるんだから…