LAST-LIFE
『わからない―。』

堪蔵は苦悩していた。

瞑想で何かが見える気がするが、何も見えない。
歯痒かった。

外に出ると、近所の子供たちが寺の前で遊んでいた。

『私もこうして遊びたかったものだ。』

微笑ましかった。

子供たちを見ていると、一人の女性がやってきた。

「こ、こんにちは。」

少し驚いたような表情をして隣に座ってきた。

「こんにちは。・・・どうしました?そんな表情をして。」
「ここに人がいるなんて知りませんでしたので。」
「そうでしょうな。数日前にきたばかりですから。」
「そうですか。」
「お名前、聞いてもよろしいですか?」
「香と申します。」
「お香さんですか。私は堪蔵と申します。」
「堪蔵さん・・・。」
「ところで・・・この子達は?」
「・・・皆、生まれてすぐに親を失って。近所で集まって暮らしております。」
「そうですか・・・。」
「私もすぐに両親を失って、皆と一緒に育ったのです。」
「お歳は?」
「もう十五にございます。」
「そうですか。」

二人の間を沈黙が包む。
日が落ちてゆく。
香は子供達を連れて帰っていった。
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