LAST-LIFE
「堪蔵様。」

笠を被った男が現れた。

「田所・・・。」
「お兄さまが亡くなられ、帝に堪蔵様を迎えたく存じ上げます。」
「いきなりなんじゃ。もう戻らぬと言ったではないか。」
「なにとぞ!」
「総鶴がおる。・・・もう来るな。」

頭を下げっぱなしの昔の家来を突き放し、堪蔵は寺の奥へ消えた。


午後、手紙が来た。
香からである。

読む気になれず、開けなかった。


心を落ち着かせ、瞑想する。


轟音を響かせながら走ってくる大きな物。
死を覚悟する。

堪蔵が目を開くと静かな寺の中だった。

「今のは・・・?」
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