LAST-LIFE

現代:北海道‐昔:京都

「ただい―」
「あんた達二人とも何してたの!!」

帰宅と同時に母親の怒声が響いた。
耕助は祖母が無断で自分を連れだした事を初めて知る。

しかし、死の宣告をされた耕助は母の怒りを受け流していた。

「いいよもう・・・。どうせもうすぐ死ぬんだからさ。」

そう呟いて横を通り過ぎた耕助に母親は拍子抜けし、叱る気をなくした。


耕助は疲れていた。
何も聞きたくない。
何も見たくない。
何も言いたくない。
何も感じたくない。
そう思える程。

自分の死期が近いことを信じて疑わなかった。

既に自分の死期を悟っていた。


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