LAST-LIFE
早朝、耕助は目覚めた。
そして祖母の部屋に入る。
「婆ちゃん。」
「ん?なんじゃ、耕助。」
「俺、たぶん今日・・・」

暗い瞳。
死にゆくものの目である。
祖母は少しだけ、淋しそうな顔をした。

「そうか・・・。わかるか。」
「うん。」
「出掛ける用事は?」
「学校。」
「死ぬなよ。」
「・・・うん。」

『死ぬなよ・・・か。』

祖母の部屋を出て耕助は自分の手を見た。
何だか、悲しくなった。
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