LAST-LIFE
『堪蔵の記憶は残っている。
生活に困ることはない。』

『ただ・・・これでいいのか?』

堪蔵は意識を落ち着かせ、完全に耕助に戻る。

『――!?』

不思議な光が見えた気がした。

しかし、光はすぐに消え去った。
耕助は光の向こうが見える気がした。


数時間が過ぎた頃、香が自分を呼びにきた。
来客のようである。

『香に聞かせたくない内容だな。』

堪蔵はそう思った。

「お香、内密な話だから席を外していてもらってもいいですか?」

表情が強ばっているのが自分でもわかった。

「は、はい。」

ただならぬ雰囲気に圧倒された香を尻目に堪蔵は相手にあった。

「島村・・・。」

膝をついて頭を下げたままにしている男。
堪蔵のかつての目付け役、島村であった。

「はいれ。」

堪蔵は島村を寺に引き入れた。

向かい合って座ると、二人の間の空気は張り詰めた。
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