LAST-LIFE
「四郎、兄上の様子はどうだった?」
「今は安静にして、休んでおられます。」

可笑しそうに総鶴は笑い始めた。

「すまん、お前の答えが見当違いにも程があるものでな。」
「見当違い?」
「私はな、四郎、勘蔵兄のことを聞いたのだ。同じ屋敷に住む項宥兄はならば自分で見にいけるだろう。」
「もっともでございます。」
「で、どうであった?」

四郎を真直ぐに見つめる総鶴の目。
鋭さは四郎の眼光を超えている。

「勘蔵様本人はもう戻らないと。」
「そうか・・・。だがな、私はそんなことよりも兄上の暮らしぶりが気になるのだ。」
「申し訳ございません。・・・勘蔵様は小さな寺院に妻らしき女子と住んでおられます。」
「妻?」
「町民の娘と思われます。」
「そうか・・・。兄上が妻を。」

総鶴は軽く笑う。
四郎は頭をたれていた。
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