LAST-LIFE

仮前世・仮来世

勘蔵は目覚めると自分の知らない部屋にいた。

「お香さん？」

香を呼んでも返事はない。

着のみ着のまま外に出た。
足は勝手に動き、門のある、大きな白い建物の前に来ていた。

静かすぎる。
町にも、この建物にも人がいない。
階段をゆっくりと上る。
ドアを出ると屋上に出た。

「どこなんだ、ここは・・・？」

眼下の町並みは灰色の路と見たこともないような高い建物ばかりだった。

外を見ていると、背後でガチャリとドアが開く音がした。

後ろを見ると、以前夢で見た少年がいた。

少年は驚いたような表情をしていた。